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ブランディングデザインについて

こんにちは、モンゴロイドのデザイナー(SMB)です。
普段から「ブランディング」という言葉をよく聞くことが多いと思いますが、
実際にブランディングとはなんなのか、ブランディングとマーケティングの違いとは、
改めて、ブランディングデザインについて考えていきたいと思います。

ブランディングデザインとは

1.ブランディングデザイナーという仕事

ブランディングデザインは、作品ではなく「子ども」みたいないもの

ブランディングデザインは、クライアントと手を取り合い、二人三脚で一緒に作り上げていきます。また、制作した側の作品というより、クライアントと一緒につくる「子ども」みたいなものです。

ブランディングデザイナーは「デザイン部長」

ブランディングデザイナーはあくまでデザイナーです。当然ですが、経営は経営者がきちんとリードすることが重要だと思っています。ブランディングデザイナーはそれを受けて、その経営をどのように具現化するかを考え、形にしていくプロフェッショナルです。

2.ブランディングは差異化

ブランドは「焼印」=区別からはじまった

「ブランド(Brand)」 の語源は、諸説ありますが放牧していた自分の牛が、他の牛と混ざらないように区別がきちんとつくように「焼印を押す(Brander)」という行為を表す言葉を転じて「ブランド(Brand)」となったそうです。
つまりブランディングとは、その企業の活動が他ときちんと区別できればいいわけでです。

ブランディング=差異化

最初に気を付けることは「ブランディングデザインとは結局何を行うことなのか?」という相互の理解です。ブランディングの考え方があやふやなままにプロジェクトをスタートしてしますと、ボタンの掛け違いがでてしまいます。
重要なのは「ブランディングとは、ある商品、サービス、もしくは企業の全体としてのイメージに、ある一定の方向性(ブランド全体をデザイン)を作り出すことで他社と差異化すること」です。
つまり、ブランディングデザインは、デザインを作って終わりではなく、差異化している状態づくりにこそ、その本質があります。

差異化とは「他とはどう違うのか」ということを正しく伝えること

よくある勘違いが「デザインでかっこよくする」「話題になる流行のデザインにする」という表現上だけのゴール設定です。
大事なのはその中身(コンテンツ)です。その商品やサービスがどう他と違うのか、コンテンツの価値を正しく伝えることが ブランディングデザインでは重要になります。
つまり、差異化とは「ブランドの本質的価値をお客様に正しく伝える」ことです。

3.ブランディングは伝言ゲーム

ブランディング≠マーケティング

ブランディングの方法は、マーケティングとかなりかぶる部分も多いですが、決定的にマーケティングと違うところがあります。それは「目的」の違いです。
ブランディングの目的は「売る」ではなく「伝える」です。
ただ、伝えるのではなく「人から人へ自然に伝わる」のが理想です。

ブランディングとは差異化で伝言ゲーム

ブランディングで一番重要なのは、商品の本質的な価値が人から人に伝わるような「伝言ゲーム」です。
現代では、買い物をする前にネットで他人のレビューを検索したり、SNSの「いいね」の数を当てした「信用できる誰かがすすめる=信頼性が高い」というように、情報の信用根拠を、対象物ではなく第三者の求めています。

ブランディングの目的は「売る」よりも「伝言」

ブランディングとは、伝言ゲームのように自然に企業の本質情報が伝わっていく状態を目指すことが目的であり、売り上げを上げることが目的ではありません。
商品の本質的価値に魅力があり、伝言ゲームで信用価値が高まれば、その商品に関わる人(ファン)は徐々に増えていき、次第にブランドが確立されていきます。
ブランドをつくろうと思ったら、ただ単に「売る」のではなく、「伝言ゲーム」のような活動が重要になります。

4.ブランディングの条件

ブランディングの3条件

トップの熱い思い
コミュニケーションにおいて1番大事なのは「人の思い」です。
経営者やブランドマネージャーなど、プロジェクトをリードしていく人に熱い思いがなければ、強いブランドはできません。
ブランディングの過程で、困難な状況に際してブレない判断を下し続ける熱い思いを持った決断だけだからです。
良いモノ(サービス)
お客様は常に商品やサービスを比較し購入しています。そのときに、市場の中で安心して買える水準を超えていることは絶対条件です。当たり前のことですが「良いモノ」しかブランドにはなりません。
コミュニケーション
同じ条件下で、ある程度水準が高い良いモノだと、比較するのが難しくなってきます。
そこで重要なのが差異化するための「コミュニケーションチーム」が必要になります。

「つくる」と「伝える」の両輪体制を自社で持つこと

良いモノをつくれば売れた時代は終わり、現代では良いモノを「伝える」といことを行わなければなりません。
そのために「つくる」と「伝える」の両輪体制を自社に「コミュニケーションチーム」を持つことで、ブランディングの差異化要因をきちんと伝言することに繋がります。

ブランディンデザインの考え方

1.ブランディングディレクション

狭義のデザイン「かたち」と広義のデザイン「考え」

一般的にデザインというと、色や曲線や外形的なフォルムなどの「かたち」についてを「狭義のデザイン」という言い方をします。それに対して「広義のデザイン」は、「かたち」を作るときの背景や思想や哲学に基づいてつくる「かたち」に対する「考え」のデザインのことです。

デザインの「考え」と「かたち」をつなぐ「ルール」

リンゴをイメージするとき、赤という「考え」だけではうまく「かたち」のデザインが導きだすことができませんが、「考え」と「かたち」の間に「丸い食べ物」という「ルール」を挟んでみたら、早い段階でリンゴがでてくると思います。
こうすることで、限られた期間の間に集中的にいくつもの提案が可能です。
つもりデザインとは、広義のデザイン「考え」がディレクション「ルール」を通して、狭義のデザイン「かたち」へとつながる具現化プロセス全体のことです。

ブランディングディレクションは経営をかたちにする

ブランディングデザインで大事なのは、経営者の構想をデザインで表現するために、間に「ルール」をどんなふうに言語化できるかです。これが経営の考えをデザインにかたちにしていく仕事になります。
ブランディングデザインがきちんとかたちになるとき、経営者とデザイナーの共創が実現します。

2.デザインディレクション

デザインディレクションはデザインの統合

デザインディレクションとは、色々なデザインジャンルの「かたち」をコントロールし、統合していく技術です。しかし、これはクライアント側からすると、デザインを事業につかってみたいと考えたときに、まず「誰に頼んだらいいかわからない」問題となります。また、複数のデザイナーを「きちんとコントロールするのが難しい」問題も発生しますので、解決するための「デザインディレクション」になります。

デザインディレクションは制作スタッフを指揮すること

関係者を一つにまとめるためにディクションする「ディレクター」が重要になってきます。細分化されていたデザインをとりまとめる「デザインディレクション」という指揮者のような技術が、ブランドのデザインを行う際に求められます。

デザインディレクションがブランドの方向性をつくりだす

それぞれの専門のデザインが別々の方向に向かっているとしたら、それはブランディングにはなっていません。一定の方向性を作り出しブランディングディレクションにより経営者の強みをデザインでかたちにしていきます。そして、様々なデザインの統合を行い、ブランドとして差異化された「ある一定の方向性を作り出す」必要があります。

3.ブランディングデザインの3階層

MCCの3つの階層

「M」マネジメントのデザイン
大きくブランドを変えたい場合は、コミュニケーションのデザインやコンテンツのデザインよりもビジネスの仕組みを変えていく方が効果が出やすくなります。
BtoBビジネスの会社がBtoCに販路変更など、コンテンツはそのままでもビジネスの仕組みを変えるとブランドにとも大きな影響を与えます。
「C」コンテンツのデザイン
コンテンツとは、お客様がそのブランドに対して期待する中身のことです。メーカーでしたら「プロダクト」、サービスを提供する会社であれば「サービス」そのものになります。
コンテンツはブランドの中核であり、最も大事なモノです。経営者やブランドをリードする方々が、ここに熱い思いを持って取り組めていないようであれば、ブランドにはなりません。
「C」コミュニケーションのデザイン
コミュニケーションのデザインとは、ロゴ、パッケージ、Web、広告など、お客様がそのブランドに触れるタッチポイントとなるデザインのことです。

MCCの一貫性をきちんとデザインすることが重要

ブランドの要素を3階層に分けて考えていますが、ブランディングデザインとして、収容なのが、このMCCの一貫性をきちんとデザインをしていくことです。
ブランドにおける「考え」は経営そのものです。この経営を「かたち」にすることがブランディングデザインだとすれば、MCCの一貫性をきちんとしたデザインするブランディングディレクションこそがもっとも重要になります。

4.差異化の強さ

差異化要因をつくり出すことが重要

ブランディングデザインの仕事では、MCCの一貫性を作り出すことがとても重要になります。それは「ブランディング=差異化」と定義しましたが、強い差異化要因を作り出すのがMCCの一貫性、すなわちビジネスの一貫性にこそ表れていきます。

Mマネジメントレベルの差異化は持続性が長い

ブランディングデザインの3階層のMCCの関係ですが、ブランディングにおける差異化要因として、上から順番に影響力の強い順に並んでいます。つまりブランディングの差異化の強さは以下になます。
「Mマネジメント>Cコンテンツ>Cコミュニケーション」この差異化の強さは「差異化の持続性の長さ」になります。

5.伝言ゲームの速さ

伝言ゲームを早くするCコミュニケーションのデザイン

Cコミュニケーションのデザインをしっかり行うと、世の中への伝播のスピードが圧倒的にあがります。極端に言えば、デザインを見ただけでブランドがわかる状態まで持っていくこが伝言ゲームでとても強い力を発揮します。
デザインは言葉で説明できないブランドの雰囲気や品位、美意識なども表現します。

まとめ

ブランディングデザインとは、ロゴや広告をどうするという次元ではなく、トップの熱い思いと良いモノ(サービス)を大前提にした上で、他との差異を突き詰め、それを一貫性を持って形にし、伝えていく、それが伝わっていくこと。
デザインディレクションとはどういう役割か、ブランディングはマーケティングとは何が違うのかなどがよく分かりますね。

※参考書籍
ブランディンデザインの教科書